介護に関するマンガの紹介

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今回は最近話題の介護に関するマンガ2冊を紹介します。

©︎ニコ・ニコルソン ©︎佐藤眞一 ©︎筑摩書房

1冊目は
ちくま新書「マンガ認知症」
著:ニコ・ニコルソン、佐藤眞一

漫画家ニコとその母:母ルソンは、アルツハイマー型認知症になった祖母:婆ルソンの在宅介護で、疲れ果てていたところ、高齢者の心理を研究するサトー先生と出会い、「認知症の人たちが、いかに孤独を感じ、不安と闘っているか。」を考えるきっかけとなり、「自分が自分であることへの確かさが揺らぎ、このことほど大きな不安はない。」と思うようになる。実はこのサトー先生は、長い間認知症を心理学的に研究してきた学者で、認知症の人の心を理解すれば一見『奇行』に思えることも理由が分かり、認知症の人の行動も理解できる。認知症の人を理解して状態を楽にできれば、ケアする家族も楽になる鍵と説明しています。

認知症の人がとる個々の特異な行動を、何故そのような行動を取るのかを、心理学の側面から解説し、そのような時、どの様に対処したら良いかをニコさん、お母さんと語り合ううちやがてニコさんとお母さんは、祖母と共感し合うようになります。サトー先生は、本人の尊重と家族の負担軽減は両立すると語っています。
認知症の症状の一つである徘徊は、目的もなくさまよっていると思われがちだが、アルツハイマー型の場合、最初目的あって家を出たが、空間認識力が低下しているために、現在地と目的地の位置関係を把握できなくて起きることが考えられる。また、徘徊する目的として過去の何処かへ帰りたいという帰宅願望もある。徘徊を防止する手立てとして、今いる場所の居心地をなるべくよくして、退屈させないようにすることも大切と指摘しています。

この本は、認知症の人を介護する家族の立場で、認知症の人にどのように接したらいいかを書いた本で、各章はニコさんの描くマンガとサトー先生の解説で構成されています。今までの認知症に関する読み物は認知症の人を外から観察した視点で描かれたものが多かったが、この本は、認知症の人が心に抱える不安な状況を理解することが、認知症への理解を深める助けとなると説明しています。

また、この本と関連して「webちくま」で番外編を掲載しているのでそちらも一読をお勧めします。

 

©️たかの歩 ©︎マイクロマガジン社

2冊目は
コミックELMO『さくらと介護とオニオカメ!』
著:たかの歩

介護施設で働き始めた新米・鬼岡明とその教育係でリーダーの熊本さくらが、介護現場の理想と現実のギャップに抗い、揉まれながら施設の利用者に寄り添って行くさまを描いた作品。

時として新米の鬼岡が介護現場で使われている専門用語など投げかける素朴な疑問リーダーの熊本もしばしば答えに窮する。
午前中の入浴や、夜間のステーション対応など、人員不足の中でもベテラン介護職員が施設利用者に対して当たり前のこととしてやっている介護現場の現状は、一般の生活からみて違和感を覚え、介護のあり方自体を考えさせてくれる。
一見楽そうに見えるベッド上での食事が実は施設利用者にとって大変だということやリクライニングベッドでギャッチアップ時に背中に受ける圧迫感や、反対にベッドダウンの時の落ちていく感覚などは、介護される人にとっては苦痛を感じている。
日頃、いろいろとロボット介護機器などを調べている筆者も全く気づかなかった、ロボット介護機器を使って介護される側からの視点には新鮮さと驚きを感じる。介護される側の感じ方を読み取ることの大切さと難しさを改めて認識させられた。
物語では施設利用者の気持ちに寄り添って介護しようと日々奮闘するさくらや鬼オカメ達が、逆に施設利用者から受ける優しさに心癒される話もあり、まさに、背表紙に書かれている通りのヒューマンドラマとなっている。
2020年11月16日に発行された第1巻では1話から6話までで構成されているが、Kindle版では、既に7話から10話までが掲載されているので、おそらく12話くらいまでできた時点で、第2巻が発行されると思われます。次回の発行が待ち遠しい作品。

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